オリンピック・パラリンピック×上智 インタビュー

伊藤康紀さん
伊藤康紀さん

公益社団法人日本ボート協会
ナショナルチーム チームマネージャー
伊藤 康紀さん(経営学科2年)

 

「オリンピック・パラリンピック×上智 インタビュー」では、上智大学でオリンピック・パラリンピックに向けた取り組みに関わっている方を紹介します。
今回は、ボート競技の日本ナショナルチームでチームマネージャーを務める在学生の伊藤康紀さんに話を伺いました。

 〇公益社団法人日本ボート協会(JARA) ホームページ

全日本中学選手権競漕大会(岐阜)の写真
全日本中学選手権競漕大会(岐阜)の写真(右から2人目が伊藤さん)

-ボートはまだメジャーな競技ではありませんが、伊藤さんは競技経験者ですか?
 通っていた都内の中学校にボート部があり、所属していました。中学校ではダブルスカル(漕手2人乗り)と、クオドルプル(漕手4人と舵手1人乗り)に乗っていました。
進学した高校はボート部が無かったので高校では競技はしていません。ですが、大学ではボート部に所属したいと思っていましたので、大学受験の勉強を頑張ろうと思っていました。
そんな中1年生の時に、東京都ボート協会の派遣コーチのサポートをする、マネージャーになる機会を頂きました。 高校生でボートに関われるチャンスだったので、嬉しかったです。

-どうやってそのような機会を得る事ができたのですか?
 中学生の時に東京都の高校生選抜合宿に行ったことがあり、その時に知り合った方から「高校3年間も好きなボートに関われないのはもったいない」とチャンスを頂きました。ちょうどその頃は2013年東京国体に向けて都が強化に力を入れていたので、その一環としてお手伝いをさせてもらえたのです。
それから自分の高校に通いながら、強化指定校になっていた都立高校の練習に参加させて頂き、派遣コーチのサポートを始めました。仕事内容はタイム計測やビデオ撮影、コーチの雑用など様々で、コーチと一緒に練習を見ていました。

練習の準備中
荒川の土手にて練習の準備中

-同世代の方の練習をサポートしていて、自分も選手として漕ぎたいと思いませんでしたか?
 ボートは全身運動のスポーツで、トップ選手になるには体格も重要です。私は決して身長が高い方ではなかったので、その頃は大学生になったら漕ぎ手ではなく、コックス(舵手)をやりたいと思っていました。ですからコーチについて練習を見るのはとても良い経験で、勉強になりました。
 そして、サポートした選手が東京選抜として出場した2年生9月の東京国体では、高校生男子が2種目で優勝するなど男女共に良い成績を収めました。これは自分の事のように喜べましたし、同時に人をサポートする事に対する成功体験になりました。
 希望の大学に進学してボート部に入り、コックスとして活躍すると決めていたので、国体の後は一生懸命勉強をしました。
しかし残念ながら希望校には合格できず、昨年上智大学に入学しました。

 

-上智大学にはボート部はありませんね。
 はい、でも大学受験を通して勉強をしっかりやる必要性も感じましたし、課外活動ばかりにのめり込み過ぎるのも良くないと思っていました。ボートをやりたいと言う気持ちが無かったと言えば嘘ですが、上智ではボートとは別のサークル2つに所属して、また勉強も頑張っています。

ナショナルチームのポロシャツを着てくれました
ナショナルチームのポロシャツを着てくれました

-ではどうしてナショナルチームのチームマネージャーになれたのですか?
  昨年の12月に日本ボート協会(JARA)のホームページでナショナルチームのマネージャー募集を見つけました。さっきも言いましたが、勉強をおろそかにしてまでボートに関わるのは違うと思っていたので悩みました。でもこれは自分を成長させる良い機会だと思って「自分の現役ボート人生はこれで最後にしよう、その代わり悔いの無いぐらいやり切ろう」と決めて応募しました。

 

-普段の生活や仕事内容はどんな感じですか?
  ナショナルチーム基本スケジュールは、埼玉県の戸田オリンピックボートコースで2週間合宿を行い、1週間は各自の所属に戻り、また2週間合宿という形です。私の場合、合宿の合間の1週間は自宅に戻りますが、あとは戸田でチームと一緒に合宿生活をしています。私だけでなく選手も「大学の勉強は休まずに練習をする」が協会の方針なので、合宿中は戸田から大学にきちんと通っています。
 ナショナルチームには社会人、大学生の男女合わせて30人程度の選手やコーチ(1人はフランス人でアテネ五輪の金メダリスト)などがいます。私の仕事は高校の時のような練習時のコーチのフォローに始まり、協会との調整や物品の調達、選手とコーチの通訳や精算処理、記録会の運営など、ありとあらゆる事に及びます。先日は上智のフランス語学科の方に翻訳を手伝ってもらったりもしました。

練習を見守る

-実際やってみて感じた事はありますか?
 まず単純に「楽しい!」ですね。業務はとても多く、応募した時の予想よりも大変ですし、もちろん報酬も出ませんが、これはボランティアではなく仕事だと思ってやっています。自分の仕事が選手の活躍、日本チームの戦績に繋がっていると感じていますし、自分の成長にもなっている。でもそれよりも、単純にいまサポートしているメンバーがワールドカップなどの世界の舞台でメダルを取るところを見たい。関わって行きたいという気持がメインです。
何か経験をするならば一流の所でやりたいと思っていましたし、レベルの高い人の活躍をサポートしている、自分が役に立っている実感は嬉しいです。何でもできる人間に成長したいと思っています。

  

-2020年はどの様に迎えたいですか?
 実はナショナルチームのマネージャーの仕事を2020年まで続けるのは難しいと思っています。やはり今、ボートにかなりの時間を費やしていますし、大学の勉強ももっとがんばりたいと思っていますので。
だから、この先はマネージャーとは違う形で、ボートや協会と関わって行きたいです。それと、順調に行けば2020年は社会人1年目なので、ボートに関わるどころでは無いかも知れません。東京に居るかすらわかりませんので。
でもオリンピックは楽しみです。今、一緒に合宿しているメンバーも出場すると思いますので。できれば観客席ではなく、何かしらのサポートをして競技会場に居ることができたら良いと思います。
 

練習を見守る

-ボートにはパラリンピックもありますよね
 はい、肢体不自由と視覚障がいの選手の種目があります。競技団体が分かれている事もあり、一緒に合宿等は行っていませんが、一緒に盛り上がって行ければ良いと思います。
祖父が足を悪くしている事もあり、体に対してディスアドバンテージを持つ人の活動に対して関心があります。その人のディスアドバンテージに対して、正当にみんなが理解し、支援して行ける社会になると良いのではないでしょうか。いろいろなバリヤを無くそうとするのも大切ですが、まずは正当にみんなが理解し、カバーできる世の中にできると良いですね。

 〇特定非営利活動法人日本パラローイング協会(JPRA) ホームページ

 

-今日はお話を聞いて、伊藤さんの何事にも精一杯取り組む姿勢が印象的でした。

その性格を知って、都の協会の人は高校生の伊藤さんに声をかけたのでしょうし、ナショナルチームのマネージャーとして活躍できている理由でもあると思います。
今日はお時間を頂きありがとうございました。 これからもがんばって下さい。

 こちらこそ、今日はありがとうございました。。



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屋内にも練習設備が
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